「自転車でマッハで帰るから大丈夫」
「家着いたら、連絡して」
「……分かった」
そんなに心配しなくていいのに。
藤くんが心配してくれてることが嬉しいのに、どうしても悲しさの方が強い。
わざわざ玄関先まで送ってくれた藤くんにもう一度「お大事に」と告げて帰宅した。
*
無事に何事もなく家に着いたわたしだけど、お母さんに藤くんのことを色々伝えていたら藤くんに連絡するのを忘れていた。
「奈帆、さっきからスマホが光ってるけど大丈夫なの?」
「…あっ!」
画面には藤くんからの着信。
急いで自分の部屋に戻ってその電話を取る。

