その後、めちゃくちゃ難しい問題を出してきたのは、笑ってしまったから許してあげようと思う。
可愛いんだ、藤くんは。多分、学校では見せていない部分をわたしには少しだけ見せてくれてるんだと思う。
それを嬉しくも思うけどやっぱり……。
「藤くん!」
ボーッと考え事をしていたわたしの耳に入ってきたのは、藤くんを呼ぶ可愛い声。
「どうしたの?」
わたしには向けない優しい顔をして、女の子の元へ行き楽しそうにドアの前で話してる。
「そんな見ないの」
「……っ、見てないよっ!」
いきなり話しかけないでよ。
「奈帆はなんやかんや柊真くんのこと好きだもんね〜」
ニヤニヤ笑う愛子を殴りたくなった。
好きじゃない、藤くんのことなんて。だって、好きになってもダメだもん。藤くんを好きになったって、苦しいだけだよ。

