* 「奈帆、何で泣きそうなの?」 「小林先輩、卒業しちゃうよ」 「卒業しちゃうね。でもさ、俺的には他の男のことで泣かれる彼女をあやすの複雑なんだけど」 卒業式からの帰り道。 わたしはなぜか涙が出そうだった。 「会おうって言ったんだろ。なら今ここで泣くなよ」 「ギリギリ泣いてないもん」 「泣きそうなことが問題なんだよ」 「じゃあ、柊真くんが面白いことして笑わせて?」 「無理」 相変わらずの冷たさ……。