「奈帆が好きなのは?」 「……触れないでよ、恥ずかしい」 「なんか今日、俺ばっかり好きって言って不公平な感じするから奈帆も言えよ」 なにその強要! 柊真くんは頭いいのに、なんだか時々ツッコまないといけないところがある気がする。 「好きって言うのに公平も不公平もないと思います!なので、わたしは何も言いません」 「それズルくない?」 「全然ズルくない!」 結局わたしは、この日柊真くんに『好き』と伝えることなく家に帰った。 家まで送ってくれる時、少し不機嫌そうだったけどね。