「好き、奈帆」 藤くんはあの時以来の、キスをわたしに落とした。 「い、いきなり……っ!」 「は?お前、今その言葉言う必要ないだろ。ムード考えろや」 まずその言葉自体、ムードないからね! 「だって藤くんが…!」 「聞けばいいわけ? キスしていいでしょ?まぁ、無理って言ってもするけど」 何度も触れるだけのキスを繰り返した藤くんとわたし。 少し涙の味がして、でも幸せな時間だった。 ……あんないい加減な尋ね方は初めてだったけど。