「っていうか、かき氷のお金!」
「最初に払った」
「うそ!ごめん。払うよ」
「いいよ。いつもご飯ごちそうになってるし」
だってそれは、藤くんがわたしに勉強を教えてくれてるお礼だ。
しかもご飯を作ってるのはわたしじゃなくてお母さん…。
「それより早く食べないと溶けるよ」
「あ、うん!いただきます」
一口食べると、口の中にイチゴの風味が広がる。
わたしはこの瞬間が好きだ。
冷たいかき氷を口に含んで、溶ける瞬間。
「美味しい…」
「よかった。俺も一口頂戴」
「………」
すっかり忘れてたけど、スプーンの問題が解決してないよね。

