「え、なんで泣きそうなの」
「目にゴミが入っただけだよ。あれ、藤くんはかき氷頼まなかったの?」
「うん、もらえばいいかなっと思って」
「っ」
じゃあ、もう一つスプーンつけてもらおうよ!
「あの、スプーン……「何でもないです」」
かき氷屋のお姉さんから受け取って、スプーンをもう一つ貰おうとしたわたしの言葉を遮って、藤くんはわたしのあいている方の手を握った。
そのまま人の流れとは逆方向に進んでいく。
「……ちょっと休憩しよ。人に酔いそう」
賑わっている所から少し離れた場所で藤くんは手を離した。
あぁ、離れちゃった。
わたし達は、近くにあった低いブロック塀の上に座った。

