「迷子になってもダメだろ?
服の袖でも掴んでて」
「……っ」
そう言って藤くんは、わたしの手を自分の浴衣の袖へと移動させた。
わたしが握ったことを確認して、藤くんはまた歩き出した。
藤くんは今、どんな顔をしていますか?
わたしは、多分口角が上がってしまっていると思います。
なのでぜひとも、後ろは振り向かないでほしい。
「かき氷あるよ」
「あっ!う、うん!」
突然振り返った藤くんに顔を見せないように、浴衣の袖を使って顔を隠した。
「何してんの?」
「いや、別に……」
急いで顔を元に戻して、
「かき氷食べよ!」
笑顔を見せた。

