「…ゆう、き…?」


後ろを見ると、祐希が手のひらを藍原の方に向けて立っていた。


「今の…俺…」


祐希は呆然としながら自分の手を見つめた。


「チッ…覚醒したか…」


吹っ飛ばされて壁に激しく体をぶつけた藍原が体を起こす。


「なんだ…?その力…」


藍原はかなり驚いていた。

祐希の力に。


「なんだって言われても…俺が聞きたいよ、そんなこと…」


祐希も戸惑ったようにつぶやく。


「祐希…大丈夫…?」


祐希は大量の汗をかいていた。

顔も、青白くなっている。


「え…?大丈夫に…」


その瞬間、祐希がふらついて…倒れた。


「祐希?!」


慌てて抱き起こすと、祐希は苦しそうに眉を寄せて気を失っていた。


「超能力は、脳に負荷をかけて使うんだ」


藍原の声に顔を上げると、藍原は祐希をじっと見つめながら言った。


「さっきの力がこいつの脳にかけた負荷に、脳が耐えきれず倒れたんだ」


藍原はそう言ってくるりと背を向けた。


「病院にでも連れて行ってやるんだな。俺はそんな状態の義高に興味はない」


彼はそのまま道場から出て行った。