「じゃあ…俺は、前世源義高で、美羽は大姫…って、こと?」


「うん」


「へぇ…なんか、実感ないな…」


「昨日の交通事故で…祐希かばってくれたじゃない。それで思い出したの」


「そ、か…」


考え込む祐希を見て、私は少し心配になった。


「信じて…くれる?」


「ああ、美羽がこんな手の込んだ嘘で俺をからかわないと思うし。若干歴史とは違うけどな」


「え、そうなの?」


「歴史って全部不確かなもんだし。それに…美羽が、俺の婚約者かー…」


「…あ!」


「まぁ、前世は前世、現世は現世、だ」


「ん…確かに、そうだね」


「前世楽しめなかった分、現世楽しもうな?」


「…うん。そうだね!」


「じゃあ、俺そろそろ戻るな。検査の時間近いから」


「わかった。聞いてくれてありがとう」


「んなの朝飯前だっての!」


祐希を見送って、…やはり、彼が義高だと確信した–––