『––––。あなたの、婚約者です』
『はじめまして…』
『初めまして。––––––と申します』
『––––––––?』
『はい。––––と、お呼びください』
『––––。こちらの方は、––––––の子です。あなたの5歳上です。仲良くしなさいね』
『はい。お母様』
あれは…小さい頃の、私と祐希…?
和服…?
それに…
祐希の家も私の家も、あんな立派なお屋敷じゃない…
ていうか…祐希が、5歳上?
『––––、––––!』
『––––!どうした?』
『––––にね、会いたくなったの』
名前が、聞こえない。
2人とも、とても仲良いみたい…私たちみたい。
『––––…』
『ん?』
『私、––––のことが好き』
『僕もだよ?』
『本当に?女の子として?』
『…うん。女の子として、僕は––––のことが好き』
『本当に?』
『もちろん。僕でよければ…将来、結婚しよう』
『…はい』
うわぁ…可愛いなぁ…
この2人はきっと、幼いけど本気でお互いのこと…愛して、るんだろな…
私は…祐希のことどう思ってるんだろ…
『––––が?!それは真か?!』
『御意。そして––––––––––から、彼を討てという命令がきております』
『…––––––––––からの命令か…断れぬな…。しかし、––––は––––の実の父だ』
『––––様は、––––殿の敵となり得りますゆえ…』
『そう…だな』
『…––––は、––––のことを愛しておる。しかし、––––の様子では、––––は––––と結ばれまい…。夫は野心が強いゆえ、––––はきっと夫に利用され、幸せになれぬであろ…しかし、わたくしは娘にそんな思いはさせとうない…––––と––––を、逃さねば』
何が…起こっているの?
あの大人の男の人は、誰。
最後の女の人は、私に似た子の母親だろう。
名前が聞こえない…。
『さぁ、お逃げ』
『おかあさま…』
『––––!早くお逃げ』
『––––様…』
『––––。これは路銀じゃ…––––を、幸せにしておくれ…約束じゃ』
『…はい。必ず』
これは、私と祐希…いや、私と祐希に似た子が、私に似た子の母親に助けられて、逃げた?
あの子たちは…誰。
『すみません…ここに、泊めてください』
『おや、まぁ!こんな時間に…どうしたんだい?』
『行く場所がなくて…』
『そうかい…行く場所がないなら、ここにいるかい?』
『え…いいのですか?』
『いいよ、好きなだけいて…わし達はな、子供ができなかったんじゃ。お前達のような子がいてくれると、わしらも嬉しい』
『あ…ありがとうございます…!』
よかった…帰れる場所ができて…
心細かっただろな…彼。
5歳も年下の女の子連れて…まだ12歳なのに…
あれ?
私は…なんで、彼が12歳だと…
『––––…大変。町で聞いたんだけど、お父様の追っ手がきてるみたいよ』
『そう、か…出て行かないといけないな…』
『ここにきて、3年ね…』
『3年、––––と幸せに過ごせてよかった。おじいさん達に迷惑をかけるわけにはいかない…ここを、出よう…』
だめ…!行ってはいけない…!
行ったら…
『雨…ひど…!』
『大丈夫か?!頑張れ…!』
『うんっ…急がなきゃ…!』
大雨の中、2人が走っている。
『––––!』
彼は、彼女を突き飛ばした。
彼女は身近に迫っていたかなりの勢いで走ってきている馬車に気づいていなかった。
彼は、彼女を救えたことに安心していて、ほっとした顔をしていて–––
『––––…!』
彼女の上げた悲鳴と同時に、彼は馬車にはねられた。
彼は、地面に叩きつけられた。
彼女は彼に駆け寄ろうとした。
『––––…、…逃げろ』
彼は血と泥にまみれた体を動かし、刀を支えに立ち上がった。
彼の前に、彼をひいた馬車から降りてきた、剥き身の刀を持った彼と同じくらいの歳の男が立っていた。
『お久しぶりです、––––様』
男はそう言って刀を振り上げ、
彼に向けて振り下ろして…
『義高ぁ!』
『はじめまして…』
『初めまして。––––––と申します』
『––––––––?』
『はい。––––と、お呼びください』
『––––。こちらの方は、––––––の子です。あなたの5歳上です。仲良くしなさいね』
『はい。お母様』
あれは…小さい頃の、私と祐希…?
和服…?
それに…
祐希の家も私の家も、あんな立派なお屋敷じゃない…
ていうか…祐希が、5歳上?
『––––、––––!』
『––––!どうした?』
『––––にね、会いたくなったの』
名前が、聞こえない。
2人とも、とても仲良いみたい…私たちみたい。
『––––…』
『ん?』
『私、––––のことが好き』
『僕もだよ?』
『本当に?女の子として?』
『…うん。女の子として、僕は––––のことが好き』
『本当に?』
『もちろん。僕でよければ…将来、結婚しよう』
『…はい』
うわぁ…可愛いなぁ…
この2人はきっと、幼いけど本気でお互いのこと…愛して、るんだろな…
私は…祐希のことどう思ってるんだろ…
『––––が?!それは真か?!』
『御意。そして––––––––––から、彼を討てという命令がきております』
『…––––––––––からの命令か…断れぬな…。しかし、––––は––––の実の父だ』
『––––様は、––––殿の敵となり得りますゆえ…』
『そう…だな』
『…––––は、––––のことを愛しておる。しかし、––––の様子では、––––は––––と結ばれまい…。夫は野心が強いゆえ、––––はきっと夫に利用され、幸せになれぬであろ…しかし、わたくしは娘にそんな思いはさせとうない…––––と––––を、逃さねば』
何が…起こっているの?
あの大人の男の人は、誰。
最後の女の人は、私に似た子の母親だろう。
名前が聞こえない…。
『さぁ、お逃げ』
『おかあさま…』
『––––!早くお逃げ』
『––––様…』
『––––。これは路銀じゃ…––––を、幸せにしておくれ…約束じゃ』
『…はい。必ず』
これは、私と祐希…いや、私と祐希に似た子が、私に似た子の母親に助けられて、逃げた?
あの子たちは…誰。
『すみません…ここに、泊めてください』
『おや、まぁ!こんな時間に…どうしたんだい?』
『行く場所がなくて…』
『そうかい…行く場所がないなら、ここにいるかい?』
『え…いいのですか?』
『いいよ、好きなだけいて…わし達はな、子供ができなかったんじゃ。お前達のような子がいてくれると、わしらも嬉しい』
『あ…ありがとうございます…!』
よかった…帰れる場所ができて…
心細かっただろな…彼。
5歳も年下の女の子連れて…まだ12歳なのに…
あれ?
私は…なんで、彼が12歳だと…
『––––…大変。町で聞いたんだけど、お父様の追っ手がきてるみたいよ』
『そう、か…出て行かないといけないな…』
『ここにきて、3年ね…』
『3年、––––と幸せに過ごせてよかった。おじいさん達に迷惑をかけるわけにはいかない…ここを、出よう…』
だめ…!行ってはいけない…!
行ったら…
『雨…ひど…!』
『大丈夫か?!頑張れ…!』
『うんっ…急がなきゃ…!』
大雨の中、2人が走っている。
『––––!』
彼は、彼女を突き飛ばした。
彼女は身近に迫っていたかなりの勢いで走ってきている馬車に気づいていなかった。
彼は、彼女を救えたことに安心していて、ほっとした顔をしていて–––
『––––…!』
彼女の上げた悲鳴と同時に、彼は馬車にはねられた。
彼は、地面に叩きつけられた。
彼女は彼に駆け寄ろうとした。
『––––…、…逃げろ』
彼は血と泥にまみれた体を動かし、刀を支えに立ち上がった。
彼の前に、彼をひいた馬車から降りてきた、剥き身の刀を持った彼と同じくらいの歳の男が立っていた。
『お久しぶりです、––––様』
男はそう言って刀を振り上げ、
彼に向けて振り下ろして…
『義高ぁ!』