山賊の一人として殺されそうになったあの一件、頭巾を剥がされた時に里外の男達が彼女に向けたその殺気、
救ってくれた幼馴染兄弟、そして友人達は感じた事も見た事もないほどに全くの別人と言ってもいいほどで、そして今はいつも優しいベルトラインが何かに追われている。
 
 とてつもなく不安で、堪らない感覚。

 もっと言ってしまおう、決して先に挙げた事柄だけが理由ではない。

 意識を手放してから目を開けたその瞬間、彼女にとって世界は変わったように見えた。

 世界の、見方が変わってしまった。

 だから薄々感じていた。

 カルバドスの手を自分が振り払ってしまった時の胸の痛み、拒絶した自分を見る彼の瞳から何かしら感じ取ったルーテシアは、何かが一気に壊れていく恐れに現実味を帯びさせた。

 13歳まであと二日を残すのみとなったルーテシア、まだ幼いながら、そんな恐れを胸に煩わせた。