「終わったね。皆、松明の準備」

 消えていく男に目もくれず、皆にそう呼びかけるライナの顔は、またいつもの優しい少年の物へと戻っていた。

 だけど、そんな言葉はルーテシアの耳には届かなかった。先ほど感じた恐怖感、焦燥感、安堵感、絶望感、衝撃、そして今終わったことによる安心感。それら感情がぐるぐると胸の内を飛び交う中で、彼女はどうする事も出来ず、ただただ茫然と突っ立っていただけだった。

 そして、それは突然訪れた。