「何が相談役だ。お前はまだ元服も迎えていないだろうが。それに、仲間に手ぇだされて怒れない奴の方が……」

「駄目っ! ライナはアンタの!」

 兄弟同士、視線に火花を散らしながら、まるで恨み節を零すかのようなカルバドス。だが次の瞬間、ライナが力いっぱい兄の一撃を回転を以ていなしたかと思うと、流れるような動きで腰を抜かす最後の生き残りの男、その両足股の間、地面に、鈍い轟音と共にその戦斧を埋まらせた。

「ヒッ!」

「怒っていないわけじゃあないんだ。オイ下衆。さっさと失せろ。いくら僕にその経験が無かったとしても、若頭がここまでやってくれなければ……お前は僕がを殺すところだ。二度とその汚い顔見せるな……行け!」

「ヒィィィィィ!」

 甲高い悲鳴を上げながら、倒れた仲間にも目をくれず、ライナが恫喝した、そしてカルバドスによって最後の生き残りとなってしまった男は、恐ろしさの余り、途中転びながらも、一目散に逃げ出した。