「まぁいい。全員叩っ斬れば良いだけの話だ」

 そうして淡々と言葉を連ねるカルバドスがその太い右腕を背中の方に伸ばして……取り出したのは大戦斧だった。

「お前ら、悪かったな急に呼び出しちまって。あとは、俺がやる」

「良いってことよ若」

「ついてきたのは大正解だったしな」

「んにしてもアイツらには同情するぜ。襲ったのがルーテシア。そりゃあ、マズったってもんだ」

 森で襲ってきた男達に対して弓を放ち、確かに彼らの命を奪った幼馴染、そして友人達、いろいろなことが一気に押し寄せた。分からないことが多すぎる。

 ルーテシアは動けずにいた。戦斧を肩に担いで、ゆっくりと一人で男達に向かって歩いているカルバドスの顔には憤怒が刻まれているというのに。

「テメェら……終わったぞ?」

 そうして、熊とも虎ともしれない、いやそれに勝るとも劣らない咆哮が、暗がりの森、幾山を超えていったかと思うと、カルバドスは強く、地面を蹴った。