「手間ぁ取らせやがって」

「さ、触らないでっ!」

「っひょー、威勢のいいガキだね! 」

 ルーテシアの周りには男が15人。全員が里の中では見たことのないような鎧を身に着け、弓に、剣に、各々がルーテシアに向けて下卑た顔を浮かべていた。

「年のころは、13いや、14ってところか。野蛮な未開文明人にしちゃいい女じゃねぇか」

「殺す前に……なぁ?」

「いや! いやだぁ! 来ないで‼」

 ルーテシアは叫び声をあげながら落ちている木の枝を振り回した。だが男たちは兵士だった。武芸の心得のないルーテシアの威嚇をものともせず、寧ろ無防備な足、背中、肩を触っては離れ、離れては触る。楽しそうに笑って遊んでいた。

 そして、一人の男が、彼女の頭巾を取った時、その場は……沈黙に包まれた。