「見ていなさいトーヘンボク‼ 元服の時に驚かせてやるんだから!お化粧して綺麗な服着て、他の男の子やライナと宴で踊るときになったら絶対アンタとは踊ってあげない。絶対に、後悔させやる!」

 ルーテシアはやる気十分といったところだ。もしかしたら彼女にとっての元服祝いは、大人になる嬉しさ半面、そんな幼馴染を驚かせてやろうという腹積もりを考えるのも楽しいものだったかもしれない。

「あとは……グデルグ草ね。あれは良い染料になって珍しい植物じゃないのだけれど」

 それは彼女にとって間違いなく期待に満ち溢れる物だったのだ。

「探すとなると結構……」

「オイ! 貴様、山賊の一味だな!」

 地面に気を取られている最中、抜身の剣を手にぶら下げ、小刻みに瞳を震わせる見知らぬ男と鉢合わせをするまでは……