ルーテシアの向ける目線の先で挑戦を笑って受け止めたカルバドスは、里の男子達が彼に向かうなり愉しそうにバッタバッタと彼らをを薙ぎ倒し、笑い声を上げながら投げ飛ばしていく。

 いや、それはまだ良いかもしれない。問題は……

「おぉ! ルーテシアじゃねぇか!」

 これだった。

 ルーテシアをその視界に認めた瞬間、周囲の一掃に一際力を入れるカルバドス。

 あっという間に周りを片づけた彼は、瞬間でルーテシアとの間合いを詰めて嬉しそうに話し掛けてくるのだ。あぁ、やはりピコピコと動く犬のような耳と尻尾が見えて仕方ないが、全くもって暑苦しい。

「全然大人になってないんだから! 私の元服まであと4日! もうあんたが元服して2年経つのよ!」

「永遠に失われない少年の心! この素晴らしさが判らないうちゃ、まだまだガキだなどうも!」

「言ったわね!?」

「言いましたぁ~!」

「アハ、アハハハ。ハァ、相変わらず仲良いね二人とも……」

「だろ!」

「何処が!」

 困ったように笑うライナに対して、笑顔弾けるカルバドスと鬱陶しそうなルーテシアの反応が重なった。