「アッブネェェェェェ‼」

 自分に向けられる里の者たちの悲鳴が大きくなった瞬間、カルバドスは体に回転を加えて地面に倒れこむ。

 だが、次に聞こえたのは男の絶叫だった。カルバドスの視界ではない、今度は男がぐらついた。いや、まともに立ってはいなかった。

―ちげぇ! 強いんじゃねぇ。死ぬ気で殺す気なんだ! 生きる為に‼ そして、それが! 大人たちが仕事するうえで必要な、事なんだ!

 地面から立ち上がり、カルバドスは倒れた瞬間に自らが放った戦斧を引き抜いた。斧頭の埋まった、男の太ももから。

 半ば反射的にも近いものだった。殺されないために、必死に振るった一撃は、かなり低い位置を一閃、男の足をうがっていたのだ。

 男にとっては死角、という所もあっただろう。

 だが、その考えに行き着いた瞬間、カルバドスの目の色は変わっていた。

 彼が生き残るために、そして幼馴染のルーテシアにもう一度会うために。