「カッハ!」

 これを後ろに飛ぶことで何とか衝撃を殺そうとしたカルバドス。だが初めての命のやり取り、一瞬の判断の遅れか、蹴りがみぞおちに入ったこと、衝撃への一拍遅れた回避行動は完全なダメージ回避とは至らな……

「ックゥゥゥ!」

 たまらず挙げるカルバドスの悲鳴。男は一瞬も休ませてはくれなかった。カルバドスが後ろに飛び、着地した瞬間にはもうその間合いを詰め、右上段から袈裟斬りの要領で剣を振るってきたのだった。

 鉄製の剣の一撃を同じく鉄製の斧で受けるまだ13になりたての少年。大きな衝撃は細かい振動となり、カルバドスのまだ少年の細い指先、その中の骨までを震わせる。

 それでも防いだカルバドスに男は不快そうに舌打ちをすれば、数瞬かからず後ろ回し蹴り。体勢が整え切れていないカルバドスの胸に直撃し、その脚力が彼を突き飛ばす。