そうして、当日はやってきた。今は山賊たちが鍛錬を積む訓練場とでも言えばいいか、その広場には沢山の里の者たちが集まっていた。

 すでに儀式は始まっており、集まった者達に向かって頭領は何やら宣誓を行っている。

 そんな彼らが注目する、広場内側の、少し里の者達寄りに立っているのは、緊張した面持ちのカルバドス。そんな彼にベルトラインは声を掛けた。

「小僧、チビりそうか?」

「んなわけねぇだろ、ただの武者震いさ。ルーテシアは?」

「頭領の長男坊である小僧が、それを言うのか?」

 もしかしたら殺されてしまうかもしれない可能性。

 彼がそれを、笑顔を浮かべて必死に隠そうとしている事をベルトラインは気づいていた。だが、それでも一切の甘さをみせない。