その後、頭領が自分の住居に戻った後、ルーテシアが知らない所での話だ。
 
 家路についたお頭は、そのまま真っ直ぐに裏庭へと向かった。

「父さん! お願いします! どうか考え直して!」

 裏庭へと向かう道すがら、脇で父に意見を述べるのは必死な形相のライナだった。しかし……

「うるせぇよ。ライナ、俺の問題だ!」

 弟の声が聞こえたのかさらに大きな声を張り上げ、ライナを黙らせたのはカルバドス。そんな彼の気合の入り様に父である頭領は大胆不遜に笑ってやった。

「クソガキの癖に良く分かっているじゃねぇか。だが、ちょっと違うな。お前だけの問題じゃねぇ。俺の問題でもある。要はシメシってこった」

 口を動かしながら背中に手を伸ばした頭領は自分の獲物を抜き出した。それは、まるで歴戦の凶戦士が使うような大戦斧。

 だが、そんな頭領が目を向けた先、彼の、長男坊がその手にしている物も頭領と同じ。

 カルバドスが啖呵を発しながらも、その手に握り締めていた物は、幼いながらも父の物とほとんど大きさの変わらない、大きな戦斧だった。