他につらいことがあるとすれば食事だ。料理も許してくれない。この期間中に食べるものと言えば干飯に干し肉くらいの物だった。

 こういった日はこの村で生きてきて何度か経験してきた。決まった年、決まった月で行われているものではないことは次第に気付いていった。

 せめて、せめて心の準備だけでもしたい。そう常々思っていたルーテシアはやがてある法則に気付いてしまった。そして、だから、今回の事は薄々と気づいてはいたのだ。

 今ではその3日間を耐え忍ぶ覚悟はできていた。そして、その後に待っている物だって楽しみだった。

 豪勢な物品の支給、そして里総挙げでの宴。

 ベルトラインが鎧になって、3日耐えて、お祭りがある。何かは分からないがそれくらいの物としかルーテシアは考えていなかった。

 きっと何か大きなことがあったのだろうとしか、予測は付かなかった。

 当たり前だ。外界と隔絶された3日間、里の男達が、時には女達もがその間に山を通ろうとする者達を襲い、血で血を洗う戦いを繰り広げているなどルーテシアに分かるはずがなかった。

 普段とても優しく接してくれている里の者達が恐ろしい山賊であることを、彼女は知らないのだから。