「いいですな? ルーテシア様、これからの3日は外出禁止。何があってもこのジジイめが止めますぞ」

 またこの日が来た、とルーテシアは項垂れる。彼女にそう述べたベルトライン。彼は、少し古びた鎧を身に纏い、一切の感情を表に出さずに小屋の入り口前に椅子を置きどっかりと座り込む。鞘に納めた剣は剣先を床に、柄を両掌で包み、目を閉じ、何かを感じ取ろうとするように黙り込む。

 彼女はこの日が嫌いだった。こうなってしまえばベルトラインは梃子でも動かない。天気がよかろうが、食材が足りなくなって、里の者に分けてもらったり山菜を取りに行く事がが必要になろうが絶対に外出をさせてくれない。

 そうしてその退屈な3日間は……

「ご安心召されい。小僧共も今はそれどころではございますまい」

 幼馴染兄弟が顔を見せることだってないのだ。

 目を閉じてそう零したベルトライン。かつて寝ていると思って隙を見て抜け出ようとした所、しっかり止められて珍しく大声で怒られてしまったことがあるから文句も言えなかった。