「アイテッ! ジジイ、もちっと優しく手当てしてくれよ!」

「ハッ! 頭領の息子が、情けないのぉ」

「だって、ライナの時は優しかったじゃないか!」

「ライナは次男坊、小僧は長男坊。あとは、日頃の行いという奴じゃて」

 大声轟くルーテシアの小屋、騒ぎの中心であったカルバドスは手当てが終ったとベルトラインに掌でピシッと患部を叩かれ悶絶した。

「で、小僧ども。菓子でも食うか? 焼いてやる。貰った木の実。有効に使ってやらんと」

「わ! 僕おじいさんのお菓子大好き」

「ヘッ! 情けないぞライナ、男が甘い物なんて」

 治療も終わったベルトライン、思い出したかのように彼が口にしたのは、彼なりのルーテシアの友人に対しての遇しだ。

「そうか? いや、助かるの。食材の消費を抑えられるからな。ではルーテシア様、ライナと共に待っていなされ。一刻もあればできますでな」

「ちょっと待てジジイ、あ、いや、ジイさん。おジイさん。待ってくれぇベルトラインさん」

 やいのやいのと目の前で繰り広げている光景にため息をつくルーテシア。

 全く我ながらこの幼馴染が情けなくてしょうがない。