「お前だけだぞ! 干しブドウとってこなかったの!」

「それは! だって泥棒じゃない!?」

「泥棒じゃない! いたずらさ! 子供がやれば泥棒にはならないんだぞ!」

“そうだそうだ!”

“おカシラの言う通り!”

 自分の我儘を押し通す。強いものが偉い。と、いうか自分が一番偉い。まさに幼い時期の男の子像をそのまま形にしたようなそんな少年。

 そんな彼が率いているのがいつものいたずらメンバー。友達である彼らにおカシラと呼ばせているのは、彼の父が里の者たちに呼ばれている”頭領”にちなんでいる為。なぜ村長ではなく頭領と呼ばれているかについては分からない。