なのに、今履いてるのはその靴じゃない、私がもっと好きな色の靴。
淡くて優しいピンクの靴。
ねえ、何で?
私ね、いつもいつも言われるの…
お母さんに、靴を買いに行く度に「淡いピンクはダメよ。」、「汚すような薄い色は辞めなさい」って。
そんなにダメだと言われ続けた靴を、どうして海音は履いているの?
どうして、海音だけ…
「ありがとう、涼太!これ凄く可愛いね。」
「どういたしまして。似合うじゃんその色。海音にピッタリだな。」
何かが壊れたんだ。
私、何で気づかなかったんだろうって。
私の中で何かが壊れたの。