「私は、見ました。風音先輩が泣いているところを。あのときは、あんなに風をきってビュンビュン走ってたのにまだ足りないの!?みたいな…でも、わかったんです。この人はきっと、どんなに速くなっても、満足しないんだろうなぁって。」
「高校でも陸上を続ければきっとまた、先輩の走り見れるって思いました。そしたら、会えた。また、大好きな先輩の走りに。」
私の走りが好き。
私の走りを強くしてくれる。
「私は小澤風音の手にも足にもなろうって、決めたんです。だから、マネとして、ずっと先輩のことを見てた。もちろん他の先輩だって見てたけど、走り出したら、風音先輩以外見えなくなった。」
「また、走ってください。何回つまづいても泣いてもいいです。その度に私が、先輩を引き上げてあげます。だから…」
涙目の弥生ちゃんの声は、私の心に染み渡る。

