「ケホケホ…ハァ…ハァ」
苦しそうに眠る杏乃
熱下がってないな……
寝てる時なら…診察しても大丈夫かな
そう思って、いつも持ち歩いてる医療用具の入ってるバッグを手に取って聴診器を取り出した
すこし服を浮かせてその隙間から聴診器を入れる
「ん…ケホケホッ」
熱で潤んでる目を開けた杏乃
「あ、ごめん勝手にやって」
「……ハァッ…ハァ……ん」
ぎゅっと俺のワイシャツを掴んだ杏乃
…杏乃は多分。不安になると俺の服を握る
わかんないけど… 今までもそうだったかも
「すぐ終わらせるからな」
「…ん…ケホケホ」
喘息出てるかも…
「杏乃?苦しい?」
ふるふると首をふる
「ほんとは?」
「…く、るし…」
「了解」
そっと聴診器を抜く
薬と水を持ってこようと立ち上がると杏乃が俺の手をつかんだ
「どうした?」
「…い、かないで」
「え?」
「……おいてかないでッ」
「…大丈夫。ずっといるよ?」
昔のことでも思い出したのか、1人になるのを怖がってる
落ち着くまで隣にいようと思って、杏乃の隣に横になった