「…ケホケホッ」


ホテル街で歩くこと10分



体調は悪化するばかりで、歩くことさえ苦痛



「…今日はやめよ」




心臓の動きが不規則になってきたのを感じて、ホテルの壁にもたれかかる


持病もちなのがやっかい




俯きながら呼吸を整えようとする




ほんとやだ

こんなからだ



「ねぇきみ」



不規則な動きを正常に戻そうと必死な時、男の人に肩を叩かれた




「…は、い?」



「うち来ない?」



「今日は…ごめんなさい」




「いいから、来て」


「…むり」



「早く」




しつこい……


私の手を引いて歩くそいつ



こっちは歩ける状況じゃないんだっての




「まっ、て…行く、から…止まって…」




1回落ち着いてから歩こうと思い、1度歩みを止める




「…ハァ……ハァ」



やば… 落ち着かせるつもりが、どんどん不規則になってく



薬…



いつもかばんに入れてある薬を探す




ない

なんでッ



いれたのに!



薬飲まないと発作起きちゃう…!




「…ハァッハァ」



薬がないことへの不安は尋常じゃない


発作がどれだけ痛いのか




何度も経験してるからこそ、あんな痛みは耐えられるものじゃないことを知ってる



だからこそ、パニックになる




「ど、しよッ!ハァッハァ」



来なければよかった


寝てればよかった




呼吸が苦しくなってきて地面に手をついた




「おい!」


あたしの手を引いていた男の人があたしに合わせてしゃがんだ



「やっぱ体調悪いんだろ。持病もちなのか?」



何この人?