「うッ…ハァッ」
栞愛ちゃん達がいなくなったあと
あたしは1人で泣いていた
こんなのかっこ悪い
こんなの。ださい
だけど涙が止まることはなくて。
ずっと泣き続けた
1時間くらい経った頃、ふらっと立ち上がって家に向かって歩き始める
「…グスン…ヒック」
痛いよ…
一歩一歩が辛くて苦しくて。
立ち止まりそうになった時、聞き覚えのある声が聞こえた
「杏乃ちゃん?」
顔を上げると、そこにいたのは車から顔を出す春輝先生だった
あたしの顔を見ると一瞬びっくりした表情をしてからすぐに真剣な顔に戻った
「乗って?」
「え…」
「いいから、ほら。早く」
「いや、でも…」
「信号変わっちゃう。急いで」
春輝先生に急かされて、思わず後部座席に乗った
車が走り出すと、先生は口を開いた
「ごめんね、無理やり乗せちゃった」
「……」
「何かあったんだよね。これで涙拭きな?」
そう言って差し出されたハンカチを素直に受け取る
「体勢辛かったら横になっていいよ」
「…だいじょぶです」
涙を拭いながら途切れ途切れに答えた
「……杏乃ちゃん」
「…はい」
「俺に、話してくれないかな?何があったか。支えになりたい」
「……」
「限界…なんじゃない…?」
「そんなこと…」
「おねがい。もうこれ以上傷ついてく杏乃ちゃん見てられない」
「ッ……」
それから車の中は、あたしを気遣ってか無言だった

