white coat




お昼をすぎてもぼーっとしているあたし


「くぅん…」


「あっごめんじろう!餌忘れてた…」



慌ててじろうのエサ入れにドッグフードを入れると勢いよく食べ始めた



「ごめんね…」


ふわふわの毛を撫でれば嬉しそうに尻尾を振る


思わず頬を緩めるあたしを現実に引き戻すかのようにインターホンが鳴った




モニターを見れば


栞愛ちゃんだった



「り、あちゃん…」


「寒いんだから早く出て」


「……」


コートだけを羽織って、玄関を開けた




「久しぶりじゃん」


「う、うん」



怖くて目を合わせられないあたしは俯いて答えた


「じゃ、行くよ」


「どこに…?」


「いいから来いよ」



スタスタと行く栞愛ちゃんの後ろを歩く



…なんでついて行ってるんだろ


逃げればいいのに



そんなことわかってるのに、もう逃げられないと 思った