明音と離れてもう1週間
今では連絡も1日1回程度
ぼーっとテレビを見ていると、ガチャ と玄関が開いた
びっくりして動けなくなったあたし
「ただいまぁ〜」
た、ただいま…?
聞き覚えのある声に全身の血が引くような感じがした
ギシギシと古いから軋む床
この足音…
突然入ってきた誰かの正体を知ったあたしはあまりの衝撃に体を硬直させた
「あら杏乃。久しぶりね」
お酒臭い
化粧の濃いこいつは
あたしを捨てて人生をめちゃくちゃにした
紛れもなく張本人の
母親だった
「…な、んで」
あたしを捨てて出ていったはずじゃん
なんでいるの…?
そのショックに耐えられなくなったあたしの呼吸はどんどん荒れていって
目の前の母親が見えないほどになった
「なによ。またそんな風邪ひいたの?ほんと何歳になっても邪魔ね」
"邪魔"
その言葉と同時にあたしの大嫌いなタバコの臭いが広がって
スっとあたしの意識は途絶えた

