ターミナルの人、動きの悪い人の入浴介助等、1日4件も訪問する。
全ての人が気を抜けない。
1件1件、神経を張りつめて援助する。
病棟にいればすぐにヘルプを呼べる。
訪問看護はそうはいかない。
わからない事でも今まで経験してきた知識・技術を総活用して援助を行わなければならない。
だから、夜中呼び出された次の日の仕事は、身体が悲鳴をあげる。

そんな、疲れきった私には関わりたくない人が、私の席の前に座った。


「お疲れ。今日のコール当番って誰?」


在宅医&緩和医目指しているという心意気は買うけど。性格が中山直道。30歳。独身。

「私だけど何か文句ありますか?」

デスクでカルテ整理をしながらこんなチャラ男の相手したくない。
でも、医者だから相手するか。

「木村かよ。おまえと組むと絶対何かおこるんだよな。てか、昨日もコール当番だっんじゃん。」

確かに、中山先生と一緒になると良く呼ばれるんだよね。最悪だ。2日連チャンコール当番で中山先生と一緒。
明日は栄養ドリンク飲まないと仕事にならない。

「私の方が嫌ですよ。私、昨日も夜呼ばれてるんです。今日まで呼ばれたら身体が持ちません。何か合ったら先生1人で行ってください。」

歳も近い事合って中山先生には何でも話せるんだよね。
3年前も慰めてもらったのは中山先生だった。

何も聞かずにカラオケ付き合ってくれたっけ。

「まあ。無理すんなよ。俺病棟もあるから緊急以外電話するな。」

デスクに栄養ドリンクを置いて病棟に帰って行った。