元カレバンドDX

 風太の演奏が終わり、あたしも歌い終えると、ひとつの疑問が頭に浮かんできた。

「てゆーか、なんで風ちゃん、この曲弾けるの!?」

 にやける風太は、ギターを横に置いて言った。

「前に陽愛ちゃん家で、バンドの練習を録音したっていうデモテープを聞かせてくれたでしょ?」

「うん」

「それを何度も聴いて覚えたの。夜、陽愛ちゃんが寝ている間にこっそりね」

 そう言って、ウインクなんかしてくる風太の愛らしい顔が、今日はなんだか男らしく見えた。

凛々しく輝いて眩しかった。

「風ちゃん、大好きーーー!!!!」

 いきなりあたしが飛びつくと、風太は後ろの本棚に頭をぶつけた。

「ちょ、痛いんですけど……」

 そのままの体勢で、あたしたちは見つめあって笑いあった。

 そして、ふたりはキスをした。