元カレバンドDX

 一呼吸置いて、あたしは言った。

「あたしもバンドやることに決めたの!いいよね?」

「はい?」

 言葉の真意を飲み込めていない風太は、あたしの次の言葉を待っていた。

「だ~か~ら~、あたしもバンドやるの!!そうしたら、イーブンじゃない?」

「バンドって、陽愛ちゃん軽音楽部でやってるじゃん」

「あのバンドは、学祭用のコピーバンドだし、本格的なオリジナルバンドがやりたいの!!そうしたら風ちゃんと対等よね?」

 あたしはニヤリと笑って、残りのからあげを口の中に入れた。

「陽愛ちゃんがバンドやるのは……別に……いいけど」

 急な展開とあたしの考えについていけない様子の風太は、あさっての方向を見た。

「じゃあもう、この件はこれでおわりね!!元カノさんとの別れ話なんて聞きたくもないし!!」

 あたしはそう言って、ぎゅっと風太に抱きついた。