元カレバンドDX

「要は、“女”としては陽愛の方が勝ってるけど、“ボーカリスト”としては、負けてるって感じてるんだよ」

「……あ」

 目から鱗が落ちた気がした。

「違う?」

「いや、そう!小巻の言う通りだよ!!超当たってる!!」

 あたしは、自分でも掴めなかったモヤモヤの正体がわかり、なんだかスッキリした。

 そして、改めて小巻の存在に感謝する。

「てことはさ、“音楽”で勝てば、気にならなくるなるよねぇ?」

 ニヤリとほくそ笑むあたしに、小巻も合わせて笑ってきた。

「陽愛、なんかたくらんでるでしょ~?」

「あたし、風ちゃんがうらやましがるようなオリジナルバンドをつくる!!そんで、元カノなんか蹴散らしちゃう!!」

「お~!その調子その調子~!!」

 小巻とあたしは大の字に寝そべって笑った。

 真っ青な空を瞳いっぱいに映すと、悩んでることなんて、なんでも解決できるよう気がした。

 心ひとつで、人生は変わるのだ。