元カレバンドDX

「なんでそんなに嫌なの?わたしにはよくわかんない」

 紙パックのコーヒー牛乳を片手に、小巻は不思議そうな顔をした。

 講義の空き時間を利用して、あたしと小巻は校舎の屋上で時間を潰していた。

「そんなん嫌に決まってるじゃん!元カノだよ!!元カノと同じバンドで同じ夢を追ってるなんて絶対嫌だ!」

「あぁ、わかった。そうゆうことか」

「なにが?」

 今度は急に納得したような顔をする小巻に、ただ者でないオーラを感じとる。

「陽愛がそこまで嫌がる理由が」

「だから、さっきから何度も言ってるじゃん!!」

「違うんだって」

「へ!?」

「陽愛が嫌なのはさ、“音楽”だよ。元カノに“音楽”で負けてる気がしたからだよ。」

「それどういう意味?」

 あたしは、紙パックのバナナ牛乳をゴクリと飲んだ。