「あ、次、風ちゃんのバンドだから、あたし1番前に行く!」
2組目のバンドの演奏が終わったところで、あたしはひとりで1番前を陣取った。
ドラムの風太を間近で見るためには、1番前でも遠いくらいだ。
自分がライブをするわけでもないのに、なぜだかひどく緊張してのどが渇いた。
(あ、風ちゃんだ……)
風太とバンドのメンバーたちは、ステージの上で演奏の準備を始めた。
次に、ひとりの女の子があたしの目の前に立った。
(あ、この子がボーカルの子っぽいな……)
あたしの視線は、色白でふわふわのパーマをかけたフランス人形のような子に釘づけとなった。
その瞳は大きく、まばたきをするたびに、まつげがバサバサと羽ばたいて見える。
フリルをあしらったピンク色のワンピースに、赤い木靴の出で立ちは、“フレンチポップ”という音楽をやるのに、ぴったりの様相だった。
「ハローみんな~!CANDY APPLEデース!!」
彼女の挨拶をきっかけに、バンドの演奏は始まり、可愛らしいウイスパーボイスがライブ空間に響き渡る。
しかし、あたしの興味はすぐに風太へとシフトされた。
(あ、風ちゃん、ドラム叩いてる~!!やん!!かわいいのにかっこいい……)
風太のドラムを叩く姿に、あたしはうっとりとなった。
笑顔を振りまきながら、元気いっぱい演奏するそのスタイルは、演奏技術もさることながら、見る者を魅了する。
しかし次の瞬間、風太の右手首を見て、あたしは凍りつくのだった。
(あたしが……あたしがあげたリストバンドがない~!!!!)
2組目のバンドの演奏が終わったところで、あたしはひとりで1番前を陣取った。
ドラムの風太を間近で見るためには、1番前でも遠いくらいだ。
自分がライブをするわけでもないのに、なぜだかひどく緊張してのどが渇いた。
(あ、風ちゃんだ……)
風太とバンドのメンバーたちは、ステージの上で演奏の準備を始めた。
次に、ひとりの女の子があたしの目の前に立った。
(あ、この子がボーカルの子っぽいな……)
あたしの視線は、色白でふわふわのパーマをかけたフランス人形のような子に釘づけとなった。
その瞳は大きく、まばたきをするたびに、まつげがバサバサと羽ばたいて見える。
フリルをあしらったピンク色のワンピースに、赤い木靴の出で立ちは、“フレンチポップ”という音楽をやるのに、ぴったりの様相だった。
「ハローみんな~!CANDY APPLEデース!!」
彼女の挨拶をきっかけに、バンドの演奏は始まり、可愛らしいウイスパーボイスがライブ空間に響き渡る。
しかし、あたしの興味はすぐに風太へとシフトされた。
(あ、風ちゃん、ドラム叩いてる~!!やん!!かわいいのにかっこいい……)
風太のドラムを叩く姿に、あたしはうっとりとなった。
笑顔を振りまきながら、元気いっぱい演奏するそのスタイルは、演奏技術もさることながら、見る者を魅了する。
しかし次の瞬間、風太の右手首を見て、あたしは凍りつくのだった。
(あたしが……あたしがあげたリストバンドがない~!!!!)
