「やっぱり~!!」なんて言いながらも、小巻の「なんかいけると思う」という中途半端な言葉が、あたしは嬉しかった。

「わかったよ。今日の夜、ひき出しの中あさってみる」

「やった~!さすが陽愛!!黒いクレヨン~♪じゃあそのお礼に、今度合コン、セッティングしてあげる!」

「まぢ!?かっこいい人くる?」

「お陽愛さまの好みは把握してますから」

「小巻姉さん、お願いします!」

 はしゃぐ2人の耳に、チャイムの音が入る。

「あ、やば、次の講義始まるよ!」

「じゃあ、わたしが食器片付けとくから、陽愛、後ろの方の席取っといてよ」

「ラジャ!」

 こうして、あたしと小巻のキャンパスライフは、黒いクレヨンだけでなく、色とりどりの笑顔で彩られてゆく。

 甘い恋も苦い恋も「女子」にかかれば、ガールズトークの格好のネタだ。

「女子」はそんな恋愛ネタをエサに、肥えていく生き物なのかもしれない。

 もちろん「男」を見る目も肥えていく。

 どんな恋愛を経験しても、青春の1ページとして片付けられるのは、若いあたしたちの特権なのだ。

【on guitar スバル-END】