「だからさ、黒いクレヨンも、陽愛の怨念がこもった最高傑作だと思うわけ」

「ちょ、怨念てなによ、怨念て!!」

「だ~か~ら~、その詩にメロディをつけて歌にしてみたら?」

「へ?」

 小巻からの思わぬ提案に、一瞬まばたきが止まる。

「それで、陽愛がバンドで歌うんだよ!よくない?だってオリジナルはやったことないんでしょ?」

「う~ん、まぁ、そうだけど……」

 小巻の得意気な顔が、あたしを見つめる。

「わたしの勘は当たるのよ~」

 ただ者でない小巻が、また、ただ者でない発言をして二カッと笑った。

「とりあえず明日!黒いクレヨンを持ってくること!」

「え~!?本当に~!?単にあたしの変な詩を見たいだけじゃないの~!?」

「それもある」と言って、小巻はお茶を飲み干した。