「どうもはじめまして。坂井田です」

 姿を現したのは、父親よりも少し若い感じのする男性だった。

「あ、はじめまして!小原陽愛といいます!!よろしくお願いします!!」

 腰かけていたソファーから立ちあがり、挨拶をする。

「今日はわざわざ来ていただいてありがとうございます。まぁ、おかけになってください……」

 坂井田に促され、再度腰を下ろす。

 向かい合うように座った坂井田がにこりと微笑むと、面接は始まったようだ。

「小原陽愛さん、大学生ですか……なるほど……」

 坂井田の視線が痛いくらいに突き刺さる。

「デモ音源を聞かせていただいたのですが、すごく魅力を感じました」

「あ、どうもありがとうございます!」

 こぼれた笑みが、少しだけ緊張をほぐしてくれる。