桜があまりに綺麗だったので、思わず写真を撮って小巻にLINEする。

【桜だよ~♪今日は、このあいだ話した面接に行ってくるよ~!】

 あたしのスマホに連絡が入ったのは1週間前の電車の中で、ちょうど車両が終点に着き、開く扉に注意しようとしたときだった。

「03」から始まる見知らぬ番号に戸惑いながらも、ホームに出て電話に出た。

「はい」

「もしもし、小原陽愛さんの携帯ですか?」

「はい、そうですけど……」

「こちら△○□プロダクションの坂井田と申しますが……」

 電話は、芸能プロダクションの坂井田(さかいだ)と名乗る男性からで、ぜひ1度面接をしたいから事務所まで来てくれないか、という内容だった。

 あたしは、2つ返事でOKをし、高まる期待に胸を躍らせた。

 実は最近、オーディション雑誌を見ては、片っ端から応募していたのだ。

 待っているだけじゃなにも起こらない。

 自ら動かなければ、チャンスはやって来ない!を信念に行動していたのだった。

 そして、今日がその面接の日。

【おー、綺麗だね!!どうもありがと☆面接がんばれ~!!応援してるよ♡陽愛なら絶対いける!!】

 小巻からの返信に、こころが和む。