おどける小巻に、あたしは反論する。

「いいじゃーん!確かに彼氏じゃなかったけど、あたしの中では彼氏だったってことにする!!その方が話になるから」

「はい!?」

「あ、こっちの話だから気にしないで」

 あたしはオムライスをすくって口に運んだ。

「あのね~小巻~」

「ん?」

「風ちゃんに振られたあたりから思ってたんだけどさ、あたし“元カレバンド”作りたいんだよね!!」

「は!?なにそれ!?」

「だからね、振り返るとね、バンドの全パートと付き合ってるんだよ、あたし。みんな音楽やってる人だったでしょ?」

 得意な顔をして、あたしは続けた。

「ギターのスバルでしょ、ドラムの風ちゃん、ベースのみっつーに、ピアノの北斗さん。あ、ピアノはバンドでいうと、キーボードね」

「で、ボーカルが陽愛ってわけ?」

「そう!その通り!さすがは小巻!!」

 あたしはニヤリと笑った。