元カレバンドDX

 そんな風に思わせてくれる北斗は、あたしの最高の騎士(ナイト)のような気がした。

「お手洗いお借りしてもいいですか?」

 不意にトイレに行きたくなったあたしは、北斗の了解を得てトイレに向かう。

 トイレへ行く途中、ある部屋のドアが開いていたので、あたしは気になり傍に近づいた。

 以前は、ドアがきっちりと閉まっていたので、気にも留めなかったのだが、開いているとなると別だ。

 あたしは、いけないと思いながらも好奇心でのぞいてしまった。

(あ…………)

 トイレを済ませたあたしは、北斗の待つ部屋へと戻った。

 紅茶はすでに用意されていて、あたしはひとくち飲んだあとに北斗に尋ねた。

「あの、ごめんなさい……のぞく気はなかったんですけど……」

「ん?」

 細い指で、ティカーカップを持ちながら、不思議そうにあたしを見る北斗は様になった。