元カレバンドDX

 新しい歌詞が出来上がる頃、北斗はちょうど起き上がって大きく伸びをした。

 あたしは「おはようございます」と言って、書き直した歌詞を渡す。

「よし、じゃあこれで録ろうか」

「はい!!」

 再び始まったレコーディングに、あたしのこころは踊り出した。

 たとえ「恋」を封印しても、今、この瞬間が、楽しいことには変わりない。

 3時間にわたるレコーディングが終わると、さっきまで黄色く明るかった空は、赤紫色の夕焼けに変化していた。

「おつかれさま~」

「こちらこそ、おつかれさまです!」

 回転イスの背にもたれる北斗は、くるっとあたしの方を向いた。

「あ、もしよかったらさ~陽愛、夕ごはん食べていかない?」

「へ!?」