元カレバンドDX

 あたしは北斗に促され、あとをついていく。

 オートロックのエントランスを通り抜け、あたしと北斗はエレベーターに乗った。

 ほんの数秒だが、こんな密室に2人でいるなんて、嬉しさで悲鳴をあげたくなる。

 10階で止まったエレベーターを降りると、北斗の先導で彼の部屋へと向かった。

「ここ」

 そう言って、北斗が立ち止まったのは、彼にもっともふさわしい最上階の角部屋だった。

 鍵を開け、中に入る北斗に、あたしも続いていく。

「お、おじゃましまぁ~す」
 
 丁寧に並べてあるスリッパに履き替え、奥へと進んだ。

「今、紅茶入れるから待っててね」

「あ、はい」

「ソファーとか適当に座ってて」

「あ、はい」

 緊張で同じ返事しかできないあたしが案内されたのは、機材や楽器などが置かれている北斗の音楽部屋だった。

(す、すごい!!これがいわゆる自宅スタジオっていうのか~)