元カレバンドDX


 ライブが終わってから北斗は、様々な人と話していたので、あたしはひとりでイスに座っていた。

 ちょっぴり寂しいとも思ったが、北斗は人気者なのだから仕方がない。

 あたしは、ソファーに座る北斗を見つけて声を掛けた。

「あの、そろそろ帰ろうかな~と思うんですけど、ジャケットいいですか?」

「了解、こっち来て」

 言わるままに、北斗のあとをついて行く。

「はい、どうぞ」

 そう言って北斗は、服屋の店員さんのように、ジャケットを着させてくれた。

「あ、ありがとうございます……」

 急に恥ずかしくてなって、目線が下を向いてしまう。

「じゃあ下まで送るよ」

「あ、すみません!」

 ペコっと頭を下げてから、先に行く北斗のあとを追った。

 そして、上からまぶしい光が射す階段をのぼって外に出る。