元カレバンドDX

「あの、北斗さんに誘っていただいている『陽愛』という者なんですけど……」

「あぁ、ちょっと待っててください!」

 そう言って、その男性は奥へと消えて行ってしまった。

(え!?なんでいなくなるの!?入れてくれないの!?)

「ゲスト」というのは、フリーで入場できることらしいのだが、もしかしてやっぱり入場料を払わなくてはいけないのだろうか。

 そんなことを考えているときだった。

 スーツの男性が帰って来たと思ったら、その後ろから、ひょこっと顔を出す北斗の姿が見えたのだ。

(ほ、ほ、本物~~~~!?!?!?!?)

 そこには、いつもコアな演劇雑誌などでしか見ることのできない、北斗の生の姿と顔があった。

「どーも、はじめまして」

 そう言って、にこりと微笑む北斗に、あたしは眩暈を起こしそうになった。

「あ、は、はじめ、まして……!」