元カレバンドDX

 今あたしは、銀座のとあるジャズバーに向かっていた。

 北斗から教えてもらったバーに、足を運んでいるのだ。

 目の前に広がる、初めての「銀座」に圧倒されそうになる。

 あたしは、その銀座の人波を器用にすり抜け前へと進んだ。

 スマホで地図を見ながら、目的の場所を探す。

 ジャズバーとは一体どんなところなのだろうか。

 身の丈に合うお店なのかはわからないが、とりあえず「銀座」に合いそうなワンピースを着て、めいっぱい大人のオシャレをしてきた。

 そして、憧れの北斗さんに会うのだからと、気合いを入れてお化粧をした。

 そういえば、デモ音源を送った際に、写真を一緒に同封したが、北斗はあたしのことをどう思ったのだろうか。

 とゆうか、あたしの顔を認識してくれるのだろうか。

 そんな不安を抱えつつも、とうとうあたしは目的の場所へと辿り着いてしまったみたいだ。

「ここ……だ……」

 目の前には、地下へと続く暗い階段があった。

 この階段を下りると、北斗のいるジャズバーがある。